2025.11.20

1977(昭和52)年にオープンした『稲毛海浜公園』(千葉県千葉市美浜区高浜)は、東京湾沿岸に位置する長さ約3km、面積約83haの総合公園。日本初となる人工海浜の海水浴場『いなげの浜』や『BOTANICA MUSEUM』をはじめ、プールやヨットハーバーなども併設されている。
都心からも近く、夏になると家族連れや若者たちで賑わう人気のビーチリゾートだが、開業から40年が経った2017年より再開発が進み、『SUNSET BEACH PARK INAGE』としてリニューアル。『稲毛海浜公園プール(INAPOO)』も2022年に大型リニューアルを行い、海とも直結する新たなプールリゾートとして注目を集めている。

2022年には新たなシンボルとして、全長90m幅10mの桟橋『The SUNSET Pier』が誕生。ホワイトサンドに全面入れ替えられた砂浜から突き出す桟橋では、DJイベントなども随時開催。また、ビーチサイドにも『BEACH HOUSE』が整備され、夕陽を眺めながら食事やドリンクを楽しむことも出来るようになった。
海の家などが乱立する一般的な海水浴場とはまったく異なる、スタイリッシュでお洒落な雰囲気は、海外のビーチリゾートを彷彿とさせる。そんな都市型リゾートとして生まれ変わった『SUNSET BEACH PARK INAGE』だが、今年からフードがかなり充実して人気を集めている。
エリア全体のフード施設は合計34店舗。ビーチサイドには『BEACH HOUSE』を中心に様々な料理を楽しめるフードトラックがズラリと並び、プールエリア内もレストランはメニューを一新、さらにはこれまでの3倍もの屋台などが入るようになり、その雰囲気はフードイベントさながらで食を目的に来場する人もいるほどになっている。

『SUNSET BEACH PARK INAGE』のフードを仕掛ける『OHANA GLOBAL COMPANY』代表の長谷川宜弘さん。
ビーチエリアに点在する数々の店舗やフードトラックを、汗だくになりながら縦横無尽に走り回る一人の男がいた。京都生まれ京都育ちの長谷川宜弘さんは、関西を中心に行列が出来るホットサンドとして人気を集める『’OHANABATAKE(オハナバタケ)』の創業者で、『SUNSET BEACH PARK INAGE』のフード全般をプロデュースしている人物だ。
これまでも神戸の人気リゾート『NESTA RESORT KOBE』のフードをプロデュースしたり、大阪泉南のイベント『泉州夢花火』のフード統括も手がけてきた経験を持つ長谷川さん。2023年から『SUNSET BEACH PARK INAGE』のフードにも関わり注目を集め、「行列仕掛け人」としての手腕が買われて、今年からビーチもプールも全般的にプロデュースすることとなった。

長谷川さんは自他ともに認める大のB級グルメ好きで、自分が美味しいと思うホットサンドを作りたい、今までにないホットサンドを作りたいと独学でホットサンドの開発をスタートし、フードトラック1台で起業して行列を作るようになり、フードトラックも増えて店舗展開に至るまでになった。
作り置きよりは出来立て、既製品よりは手作り、少ないよりは多く。特にフードトラックや屋台などの料理は、実店舗と違ってクオリティよりもオペレーションやコスト重視になりがちだが、長谷川さんが手掛けるフードには一切その妥協がない。飲食経験がないゆえに飲食業界の常識は知らない。だから自分が美味しいと思うものだけを作り続けてきただけなのだ。

自慢のホットサンドをはじめ、ラーメンやカレーライスなど、どれもビーチサイドやイベントで提供されるフードとは思えないクオリティとボリューム。これも長谷川さん自身が満足いくクオリティやボリュームを基準にしているから。それぞれのフード単体で店が出せそうだ。
今回のフードの中には販売予定だったのに提供を見送ったメニューもあるという。それは長谷川さんが満足出来るクオリティに届いていなかったから。自分が納得出来ないものは提供しない。これも通常のフードトラックや屋台などのイベントフードとしてはいささか尖っているスタンスだ。
「ただただ美味しいと思って頂きたいだけなんです。ボリュームに関してはやはり価格以上の価値をお出ししたいのと、自分が満足出来る量にしたいと思って決めました。食べ歩きも楽しんで欲しいと色々なフードをご用意したのですが、一食でお腹いっぱいになってしまわれるお客様が多いのは誤算でした(笑)」(『OHANA GLOBAL COMPANY』代表 長谷川宜弘さん)

プロデューサーとしての長谷川さんの遊び心が表れているのが、プールエリアで開催されている『いなプーFOOD万博』。コンセプトは世界16カ国のローカルフードを水着のままで楽しめるフードフェス。キッチンカーを使って世界16カ国のローカルフードを調理し、出来立てのものを提供している。
タイの「ガパオライス」や中国の「麻辣湯」、メキシコの「チキンオーバーライス」など、専門店でしか食べられないような各国のフードがズラリ。インドの『バターチキンカレー』に至ってはプールサイドにナンを焼く窯のタンドゥールを持ち込んで、職人がその場で生地を伸ばして焼きたてを提供するこだわり。現場のオペレーションを考えれば、既製品の冷凍ナンを使いそうなものだが、長谷川さんは出来立ての美味しさにこだわった。
ホットサンド、ラーメン、焼きそば、うどん、冷やし中華、カレーライス、オムライス、タコライス、カルビ丼、ケバブ、ヤンニョムチキン、トルティーヤ、ハニーチーズナン、ジャークチキン、タンドリーチキン、デジカルビなどなど、まだまだ書ききれないほどのメニューがプールサイドで一度に楽しめてしまうのはすごいことだ。射的や輪投げなど縁日もプールサイドに登場。

プールサイドでフードフェスという発想も面白いが、今回ナイトプールの営業に合わせてプールエリアの一角に子供が楽しめる縁日も仕掛けた。これらの発想も飲食出身の人ではなかなか思いつかないアイディアで、直接フードとは関係ないようにも思えるが、長谷川さんの考えはあくまでもフードがあってこそなのだという。
「ナイトプールで縁日が楽しめるとなれば、多くのお客様に来ていただけるじゃないですか。このプールにたくさんのお客様に来て頂きたいんです。そうすれば何か飲みたくなるし、何か食べたくなりますよね。お客様がたくさん集まる仕掛けを考えるのが僕の仕事ですが、そのゴールには僕らの美味しい料理を食べて頂きたい、という想いがあるのです」(長谷川さん)
飲食経験がないからこその自由な発想力で、次々とイベントフードの常識を変え続けて行列を作り続けている長谷川さん。今は夏以降もプールに人を集めることは出来ないか考えているという。そして、今日も長谷川さんは汗をかきながら、真夏のビーチサイドを駆け回っている。
※この記事は「Yahooニュース」からの再掲載になります。